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メディア嫌いだと暮らしの質が落ちる その一文にモヤっとした 粗品とスポニチ騒動

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粗品

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グチュペリポート




誕生日のサプライズを、本人より先に誰かがバラしてしまう。

しかもバラした側が「これも大事な仕事なんで」と胸を張っていたら、どうだろう。

たぶん多くの人は苦笑いするんじゃないかな。

いま話題の、粗品さんとスポーツニッポンのやり取り。これを見て、わたしが最初に思い浮かべたのはそんな場面だった。

正直、粗品さんのやり方にも引っかかる部分はある。

でもそれ以上にモヤっとしたのは、この件を論じた芸能記者のコラムの一文なんですよ。

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22時までに取り下げなさいの中身

まずは何があったのかを整理しておきたい。

10月20日、お笑いコンビ「霜降り明星」の粗品さんが、自身のXやYouTubeでスポニチに呼びかけた。翌日の紙面に出る予定の記事を、取り下げてほしいという内容だ。

ポストには「その情報は然るべきタイミングで俺の口から発表する話です」とある。そのうえで同日22時までに「取り下げます」と連絡するよう求め、応じなければ「今後一切粗品を取り扱わせません」とまで書いた。

ふたを開けてみると、記事の中身はフジテレビの大みそか特番の話。「ツッコミ芸人No.1決定戦 ツッコミスター」で粗品さんがMCを務め、カウントダウンとともに元日を迎えるというものだった。

この番組、5月の特番では同時間帯のコア視聴率(13〜49歳の男女の視聴率)で1位。ギャラクシー賞の月間賞にも選ばれている。粗品さんが司会だけでなく、審査員や企画監修まで担った番組だという。

中西さんのコラムによれば、情報は20日夜のうちに公式に出る流れになった。

つまり、スキャンダルでも不正でもない。

「大みそかにこんな番組をやります」という、いずれ本人たちが発表するはずだった告知なんですよね。

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暮らしの質が損なわれるという一文

この件について芸能記者の中西正男さんがコラムを書いている。

中西さんはまず、スクープの意義を説く。発表だけではない情報を独自につかむのがスクープで、力のある人や組織が出したいものだけが出る状況に「楔を打ち込む」ものだ、と。

ここは、わたしも基本的に賛成。政府や大企業に都合のいい発表だけが流れる社会なんて、ちょっと怖い。

ただ、そのあとに続く一文で思わず手が止まった。

「メディアへの嫌悪感を持つことは自由。ただ、そのことが色眼鏡になって判断が鈍り、暮らしの質が損なわれるとなれば何のことか分かりません」

暮らしの質?

何度か読み返してみた。たぶん「メディア嫌いが行き過ぎると、大事な報道まで信じなくなって、結果的に自分が損をする」と言いたいんだと思う。

でも、それならなおさら聞きたい。今回の記事のどこに読者の暮らしを守る情報があったんだろうか。

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番組告知の先出しは権力監視なのか

中西さんは今回のことを「報じることの根幹に関わる」と書いている。

見る側も「何が本質なのかを見極めなければならない」と。

じゃあ、今回の本質って何なんだろう。

わたしの感覚だと、報道の自由が守るべきものにはグラデーションがある。政治家の暴走や企業の不正をあばくのは、まさにメディアの本丸。

芸能人が悪いことをしたら、報じられるのもある程度は仕方ない。影響力のある人の言動が見張られるのも、一定の理屈はあると思う。

かといって、不倫や家族の話まで何でもありかと言えばそれは違う気がする。

では、制作側が発表に向けて準備してきた番組情報を一足先に出すのはどうか。

読者の興味は引くし、部数やアクセスも稼げるだろう。ただ、そこに「表の発表の裏に、強い者の思惑が隠れている」といった話は見当たらない。

フジテレビも「制作の詳細についてはお答えしておりません」としている。

これを「権力に楔を打ち込む」話と同じ棚に並べるのは、さすがに無理がないかな。

むしろ自分たちの商売を守る理屈に、「報道の根幹」という大きな看板をかけているように見えてしまった。少なくとも、わたしには。

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傲慢に聞こえた理由とわたしの答え

公平のために言っておくと、粗品さんの書き方にもツッコミどころはある。

「今後一切取り扱わせません」は、取引停止をちらつかせる強い言葉。気持ちは分かるけど、相手に言うことを聞かせる手段としては乱暴に見える。ここに「越えてはならぬ一線」があるという中西さんの指摘には、わたしもうなずける。

それでも引っかかるんだよな、あの一文が。

メディアを嫌う読者は判断が鈍り、暮らしの質まで落ちる。

言われた側からすると「わたしたちの報道を素直に受け取らないと、あなたが損しますよ」と聞こえてしまうんですよ。

いや、それってちょっと上からすぎない?

読者がメディアに冷めた目を向けるのは、色眼鏡のせいだけじゃないと思う。報じてほしいことは報じず、そっとしておいてほしいことほど熱心に追いかける。そんな場面を何度も見てきた積み重ねなんですよね。

暮らしの質を決めるのは読者自身です。

どの記事を信じて、どの記事にツッコむか。その選ぶ自由まで「判断が鈍る」とくくられるのは正直おもしろくない。

報道の価値を語るなら、まずは「この記事は誰の、何を守るために出したのか」を聞かせてほしい。

それに答えられたとき、読者の色眼鏡も自然と外れていくんじゃないかな。

大みそか、わたしはたぶんツッコミスターを普通に楽しんで見ると思う。

ただ、あの発表を粗品さん本人の言葉で最初に聞けていたら。

そのほうが、ずっとおもしろかったはずなんだけどな。

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