
5億8470万3000円
10月20日、衆院議員がたった1人の政党に、これだけのお金が振り込まれた。
総務省が同じ日に発表した、令和8年分の政党交付金の10月分。その一覧表を見て、わたしは思わず二度見してしまった。
中道改革連合、略して「中道」。9月に事実上の解体を決めた、あの党の名前が上から5番目にしっかり並んでいるんですよ。
解体したはずの党に5.8億円が届いた
まずは事実を整理しておきたい。
中道は2026年1月、立憲民主党と公明党の衆院議員が合流してできた政党。2月の衆院選では、167議席から49議席へと大きく数を減らしたと報じられている。
9月9日には、臨時の常任幹事会で党の解体を決めた。立民系は新党をつくり、公明系は公明党へ戻る。結党からわずか8カ月での幕引きだった。
ところが、党そのものは消えていないんだよね。
衆院議員を1人だけ残して党を「存続」させ、政党交付金を受け取る道を選んだ。残ったのは宮崎1区の渡辺創衆院議員で、いまは代表を務めていると報じられている。
政党交付金は、政党の活動を支えるために国が配るお金のこと。原資は、わたしたちの税金です。
総務省の資料では、中道の今年の交付決定額は23億3881万2000円。すでに11億6940万6000円が支払われ、今回の10月分で5億8470万3000円が上乗せされた。計算上は、まだ同じ額が残っている。
見逃せないんですよ、この数字は。
「裏金批判」はどこへ行ったのか
この件、9月の時点でSNSはかなり荒れていた。
時事通信は、「自民党の裏金議員を批判していたのに」といった趣旨の声が出ていると伝えた。読売新聞も、批判が集中していると報じている。
正直、わたしも同じツッコミを入れたくなった。
政治とカネの問題で与党を責めてきた流れをくむ党が、中身のない「器」で税金を受け取る。おいおい、それってブーメランじゃない?と。
ただ、党側の言い分も聞いておきたい。
当時の小川淳也代表は9月9日の会見で、衆院選に伴う事業者への支払いが残っていると説明した。「10億円余り、踏み倒していいのか」という発言も報じられている。
選挙を支えた事業者に代金が払われなければ、困るのは現場の人たち。そこは一理あると思う。
でもね、それなら別のやり方はなかったのかな。
立民系の新党や公明党が、支払いごと引き継ぐ。議員が身を切って穴を埋める。そういう選択肢を探した跡が、外からはあまり見えてこないんですよね。
家計の感覚で見ると、やっぱり変だ
わたしたち中間層の感覚で考えてみたい。
例えるなら、解散したサークルの口座に、部費が満額振り込まれ続けるようなもの。部員はもう1人しかいないのに、です。
物価は上がり、税金や社会保険料の負担もずっしり重い。毎月の給与明細を見て、ため息をつく人も多いはず。
その税金の行き先が「事実上もうない党」だと知ったら、モヤっとするのは当然じゃないでしょうか。
しかも、話は今年だけで終わらないかもしれない。
9月14日のネット番組で、自民党の浅尾慶一郎前環境相が、2027年も中道に17億円が支給されるという見方を示したと報じられている。もしその通りなら、”幽霊政党”への支出はまだ続くことになる。
ここは是々非々でいきたい。
今回の10月分でいちばん多く受け取ったのは自民党で、38億4087万4000円。中道の件があったからといって、自民党の裏金問題が帳消しになるわけじゃない。ブーメランを投げ返して終わり、では何も変わらないよね。
ルールの穴をふさぐのは誰なのか
わたしがいちばん引っかかったのは、党の説明より、仕組みそのものだ。
議員が1人でも残っていれば党は存続でき、交付金も受け取れる。だからこそ、こういう「延命」が成り立ってしまう。
ルールの範囲内なら問題ない。そう考える政党が出てきても、いまの制度では止めにくい気がする。
だとしたら、実態に合わせて交付を止めたり減らしたりする見直しが必要なんじゃないかな。
与党も野党も、自分たちに不利になるかもしれないルールに手をつけられるのか。そこが本当の試金石だと、わたしは感じている。
10月20日に11の政党へ配られた交付金は、合計で約78億8000万円。
その1円1円が、誰のどんな活動に消えているのか。わたしたちが目を光らせるのをやめたとき、いちばんホッとするのは誰なんでしょうね。



