
選挙とは国民の意思を政治に届けるための神聖な行為だったはず。
ところがいまこの国で起きていることを見ていると、その原則がガタガタと音を立てて崩れていると思わざる得ない。
2026年8月28日、立憲民主党の水岡俊一代表が中道改革連合・公明党との3党合流を正式に見送った。
翌29日には中道改革連合に所属する公明党出身の衆院議員28人が離脱に向けた調整に入り、31日に最終結論を出すと報じられた。
わずか半年あまりで、あっけなく瓦解しようとしている。こうなることは予想できたが…
そもそも中道改革連合とは何だったのか?
やはり選挙互助会だったのか?
ことし1月、衆議院の解散風が吹き荒れるなか、立憲民主党と公明党の衆院議員が急きょ合流して立ち上げた新党だった。
「中道勢力の結集」 を掲げ、高市政権への対抗軸をつくるという力強い触れ込み。
しかしこの結成劇、冷静に振り返れば公明党にとって都合のいい仕組みがあまりにも目立つ。
比例名簿が物語る 公明党の”生き残り装置”
衆院選の比例名簿を見れば、その構造はくっきり浮かび上がる。
公明党出身者28人は全員が比例単独で立候補し、全11ブロックの名簿上位を独占した。
1位の座はすべて公明系。
一方の立憲出身者は小選挙区と比例の重複立候補が基本で、名簿順位は公明出身者よりも下に置かれた。
結果はどうなったか。
2月8日の投開票で中道改革連合は公示前167議席から49議席へと歴史的大敗。
ところが公明出身の28人は全員当選を果たしている。
立憲出身者は小選挙区で次々に落選し、比例復活の枠は公明系に押さえられ近畿以西では復活当選者がゼロだった。
小沢一郎、岡田克也、枝野幸男、安住淳、馬淵澄夫、逢坂誠二。
名だたるベテランがごっそり議席を失った。
長妻昭や笠浩史でさえ辛うじて復活当選という有様。
つまり、中道改革連合の看板を借りて比例上位を独占した公明出身者だけが無傷で生き残り、立憲出身者が壊滅的打撃を受けた。
これは選挙協力ではなく一方的な生存装置だったと言わざるを得ない。
しかもこの名簿構成は結党時から指摘されていたこと。
野田佳彦前代表は、この不公平な仕組みを受け入れてまで新党結成に踏み切った。
その判断は本当に正しかったのか?
大いに疑問が残る。
合流頓挫 そして次の”寄生先”はどこへ
選挙に惨敗した中道改革連合は、立憲・公明の参議院議員をも合流させる構想を描いていた。
8月末を期限として3党合流の協議が進められたが、立憲の地方組織から反対意見が噴出。
「公明党との合流など到底受け入れられない」 という声が相次いだ。
当然だ。
あの比例名簿の仕組みを見せつけられた後で、参院議員まで差し出す気にはなれないだろう。
28日の党首会談で水岡代表は 「中道への組織的合流はしない」 と明言。
立憲としての役割はここで打ち止めとなった。
すると、どうなったか。
公明側はすかさず中道からの離脱を検討し始めた。
離脱の手法として分党と離党の2つが取り沙汰されている。
分党であれば政党交付金を含む党資金も分割できるが手続きが煩雑になる。
離党であれば手続きは簡単だが資金はすべて中道側に残る。
いずれにせよ、公明系28人が抜ければ中道は衆院21議席にまで縮小し野党第3党に転落する。
国民民主党と公明党がともに28議席で野党第1党になる見通し。
用が済んだら出ていく。
まるで宿主を乗り換える寄生虫のような動き方だと批判されても仕方ないのではないか。
ここで気になるのが、公明党の次の”寄生先”だ。
斉藤鉄夫前代表はかつて 「自民党の中にも中道理念を共有する者はいる」 と公言していた。
自民党内で石破茂元首相や岩屋毅前外相ら、いわゆるリベラル寄りの議員との連携をにおわせる動きはすでにささやかれている。
次の参議院選挙は2028年7月25日が任期満了。
それまでの間に公明がどこに接近するか注視しなければならない。
わたしが怒りを覚えるのはこの一連の動きが徹頭徹尾、有権者不在で進んでいること。
「中道」 という美しい看板の裏側で行われたのは、比例名簿を使った議席の私物化であり党の看板を掛け替えるだけの延命工作。
投票用紙に 「中道改革連合」 と書いた有権者は、まさか公明党を延命させるために一票を投じたわけではないはず。
けれどもテレビのニュースは、この構造をほとんど掘り下げない。
「3党合流が見送りに」、「中道が分裂の公算」 と事実だけ淡々と伝えて終わり。
名簿の仕組みが持つ意味も、公明党の生存戦略も視聴者にきちんと示さない。
報道しない自由が、ここでも堂々と行使されている。
選挙は民主主義の根幹であり、日本国民のためにある。政党の延命装置ではない。
「中道」の名を借りた公明党の振る舞いに対して、わたしたちはもっとはっきりと 「おかしい」 と声を上げるべきだと思う。
次の大きな戦いとなる参議院選挙で、有権者一人ひとりが政党の看板ではなく中身を見極める目を持つこと。
それこそが、こんな茶番を二度と繰り返させない唯一の方法。
インチキ詐欺師のような政治家に騙されない有権者でいよう。

