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★選択的夫婦別姓は何が論点なのか~家族法制の見直しを整理する

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選択的夫婦別姓は何が論点なのか

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選択的夫婦別姓は、氏の選び方だけでなく戸籍や子どもの姓、旧姓使用の限界にも関わる制度論点です。本記事では民法750条や最高裁判断、家族法制の見直しの流れを踏まえ、賛否ではなく論点を整理して解説します。

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選択的夫婦別姓と家族法制はなぜ再び大きな論点になっているのか

選択的夫婦別姓の議論が再び活発になっている背景には、氏の選び方だけではなく家族法制全体の見直しという文脈があります。近年は親子法制の改正が相次ぎ、家族に関する法律のあり方そのものが問い直される時期に入っています。

ここでは、まず制度の全体像を整理し、そのうえで論点を制度面から並べていきます。感情論や党派的な対立ではなく、「どこが制度上の争点なのか」に焦点を当てます。

選択的夫婦別姓とは何かを現行制度と比較して整理する

選択的夫婦別姓とは、希望する夫婦が婚姻後もそれぞれ婚姻前の氏を称することを認める制度案です。法務省は、これを「選択的夫婦別氏制度」と呼び、希望しない夫婦にまで別姓を強いる制度ではないと説明しています。

つまり、同姓を望む夫婦は従来どおり同姓を選べます。制度設計としては、「同姓か別姓かを夫婦が選べるようにする」という点が本質になります。

これは「強制別姓」とは異なる考え方であり、この違いは論点整理の出発点になります。同姓・別姓の一方だけを認める仕組みと、両方を選択できる仕組みでは、制度の性格が変わってきます。

民法750条と夫婦同姓制度の仕組みを確認する

現行民法750条は、婚姻の際に夫婦が同じ氏を称する仕組みを採っています。婚姻に際しては、夫または妻のいずれか一方が氏を改めなければならない構造です。

条文上、どちらの氏を選ぶかは夫婦の話し合いに委ねられています。一方で、内閣府男女共同参画局の集計では、2024年に婚姻した夫婦のうち456,453組(94.1%)が夫の姓を選択しており、実態としては妻側の改姓が大きく偏っています。

この偏りが「選択の自由がある」という制度の建付けと、「事実上どちらかが改姓している」という運用実態のずれとして議論されることになります。

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選択的夫婦別姓の制度設計では何が焦点になるのか

選択的夫婦別姓は、氏の選択だけでなく、子の氏・戸籍・旧姓使用など、周辺制度への波及が大きな論点です。この節では、制度案として何をどこまで設計する必要があるのかを整理します。

子どもの姓と兄弟姉妹の扱いをどう考えるか

論点の中心のひとつは、別姓を選んだ夫婦の子どもの姓をどう定めるかです。1996年2月に法制審議会が答申した「民法の一部を改正する法律案要綱」では、別氏夫婦の子どもの氏は婚姻時にあらかじめ定めることとされ、兄弟姉妹は同じ氏を名乗る考え方が採られていました。

この設計は、子どもごとに氏が変わることを避け、家族内での取り扱いを一定に保つ趣旨と説明されます。一方で、「婚姻時に将来生まれる子の氏をあらかじめ決めることが妥当か」「子の意思をどう考えるか」といった論点は残ります。

制度化にあたっては、次のような点が実務上問われます。

– 子の氏を父母どちらの氏に決めるかの手続
– 兄弟姉妹の氏を統一するのか個別に選べるようにするのか
– 一定年齢に達した子の氏の変更をどこまで認めるか

これらは、家族の一体感、子の利益、選択の自由といった価値をどう調整するかという設計上の問題として現れます。

戸籍はどうなるのかという実務上の論点

戸籍がどうなるのかという点は、誤解の生まれやすいテーマです。1996年答申では、別氏夫婦であっても同氏夫婦と同じく一つの戸籍に在籍する仕組みが想定されていました。

つまり、別姓を選んだ夫婦が戸籍上ばらばらに扱われるのではなく、同じ戸籍に「氏の異なる夫婦」として編製されるという考え方です。この場合、戸籍の筆頭者や子の記載方法など、実務上の運用ルールを整える必要があります。

戸籍は、身分関係の公証、相続、国籍、社会保障など多くの制度と接続しています。そのため、氏の選択制の導入は、戸籍の記載方法や情報システムの改修にも及ぶ論点として扱われます。

旧姓使用の拡大と法的な氏の違いを整理する

近年、旧姓使用の拡大が進められてきた点も無視できません。法務省などの取り組みにより、住民票、マイナンバーカード、運転免許証などで旧姓併記が可能になっています。

ただし、旧姓使用はあくまで通称使用の拡大であり、法律上の氏そのものを維持できる制度ではありません。この違いは、次の観点で問題になります。

– 法律上の氏は戸籍上の氏であり、契約・登記・裁判などで基準となる
– 通称としての旧姓は、書類や場面ごとに扱いが異なる場合がある
– 海外での本人確認や国際的な資格・論文業績などで、通称と法的氏の二重管理が生じる

したがって、「旧姓使用の拡大で不利益は十分に解消されるのか」「法的氏そのものの選択制が必要か」という比較軸は、この議論の中心的な論点のひとつです。通称使用の限界と法的な氏の問題は分けて考える必要があります。

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選択的夫婦別姓をめぐる賛成論と慎重論をどう見るか

賛成・慎重双方の議論は、それぞれ制度上の根拠を持っています。ここでは、対立を煽るのではなく、論点を並列に整理します。

改姓不利益とアイデンティティの観点からの賛成論

賛成論の中心には、改姓に伴う不利益の解消という論点があります。改姓により、職業上の業績の継続性、資格・学位・論文などとの同一性の証明、金融・不動産・行政手続の書き換え負担といった問題が生じ得ると指摘されます。

また、氏名と個人のアイデンティティの結びつきを重視する立場からは、婚姻を機に法律上の氏を改めることが心理的・社会的な負担になり得るとされます。事実婚を選ぶことによる相続や税制上の取り扱いの違いを踏まえ、氏を理由に法律婚を選びづらいことを「婚姻障害」として論じる見解もあります。

家族の一体感と子の利益を重視する慎重論

慎重論の中心には、夫婦同姓が日本社会に長く定着してきたこと、氏が個人の呼称であると同時に公的な制度でもあることが挙げられます。氏は、家族の一体感を象徴する仕組みとして機能してきたという見方です。

また、別姓を選択した夫婦の子どもについては、父母のいずれと氏が異なることになる場面が生じ得るため、子の心理や学校生活への影響、家族としての一体性をどう確保するかが論点になります。制度運用面では、戸籍・住民票・各種情報システムの改修や、社会生活上の本人確認の煩雑化を懸念する声もあります。

いずれの立場も、氏を単なる私的呼称ではなく、家族と社会に関わる制度として捉えている点は共通しています。違いは、どの価値を優先し、どのようにバランスをとるかという設計方針にあります。

最高裁判決はこの問題をどう位置づけたのか

最高裁大法廷は、2015年および2021年に、現行の夫婦同氏制度を直ちに違憲とはいえないとする判断を示しました。すなわち、民法750条は憲法に違反しないという結論です。

一方で最高裁は、夫婦の氏の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であるとも付言しています。この点は重要で、司法が「合憲」と判断したことと、「望ましい制度の選択」を国会に委ねたことは別のレベルの議論です。

そのため、最高裁判断以降も、国会での立法論としての検討は続いています。2025年の第217回国会では、立憲民主党・国民民主党から選択的夫婦別姓の導入に関する法案、日本維新の会から旧姓の通称使用に法的効果を与えることを主眼とする法案が提出されました。

これらの法案は審査が進められましたが採決には至らず、継続審議を経て、2026年1月の衆議院解散に伴い廃案となっています。その後の政権合意では、旧姓の通称使用の法制化法案を通常国会に提出し成立を目指す方針が示されており、現在も議論は継続中です。

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家族法制の見直し全体の中で何を考えるべきか

選択的夫婦別姓は単独テーマではなく、家族法制全体の見直しという流れの中にも位置づけられます。近年の改正動向を踏まえて考えることが、論点を立体的に理解する助けになります。

近年の家族法改正と親子法制見直しの流れ

家族法制は、2022年に成立し2024年に施行された親子法制の改正により、大きな見直しが行われました。改正の主な内容は、次のように整理されます。

– 嫡出推定制度の見直し
– 女性の再婚禁止期間の廃止
– 嫡出否認権の行使主体の拡大

さらに、同じ改正では、親権に関する懲戒権規定の削除と、体罰など子の心身の健全な発達に有害な言動を禁止する趣旨の明確化も行われました。これらは、離婚や再婚をめぐる実情、子どもの権利の観点、社会実態の変化を踏まえた見直しと説明されています。

この流れから見れば、家族法制はすでに現代社会に合わせた継続的な見直しの局面にあるといえます。選択的夫婦別姓の議論も、そうした家族法制全体の再設計の一部として位置づけて捉えることができます。

制度選択で比較すべき論点は何か

制度選択にあたって整理すべき比較軸は、大きく次の4つにまとめられます。

– 個人の不利益や選択の自由をどこまで重視するか
– 家族としての一体感をどのように制度で支えるか
– 子の利益と姓の安定性をどう確保するか
– 戸籍・行政実務・本人確認など制度運用の安定性をどう保つか

そして、氏に関する制度設計の選択肢としては、少なくとも「現行の夫婦同氏制の維持」「旧姓の通称使用の法制化」「選択的夫婦別氏制度の導入」といった複数のパターンがあります。それぞれが4つの比較軸に対して異なる評価を持ちます。

どの制度を選ぶかは、価値判断だけでなく、実務・司法・立法にまたがる総合判断の問題です。

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選択的夫婦別姓と家族法制の論点整理

結論を急がず制度設計の比較軸を押さえる

ここまで見てきたとおり、選択的夫婦別姓は、氏の選択だけの話ではなく、戸籍・子の氏・行政実務・婚姻制度全体に関わる論点です。旧姓使用の拡大が進んだ一方で、通称使用と法的な氏の選択制は同じではないという点も、繰り返し確認しておくべきポイントです。

近年の家族法改正から見ても、家族法制全体はすでに見直しの流れにあります。嫡出推定の見直し、再婚禁止期間の廃止、懲戒権規定の削除など、家族と個人をめぐる制度は連続的に更新されてきました。

現在の主要な比較軸は、個人の不利益や選択の自由、家族の一体感、子の利益、制度運用の安定性の4点に整理できます。これらのどれを重視し、どう組み合わせるかによって、望ましいと考える制度像は変わってきます。

どの制度が正しいと断定できる問題ではなく、比較軸を押さえたうえで、読者一人ひとりが自分の判断材料を持つことが大切です。今後の国会審議や司法判断、家族法制の見直しの進展を、継続的に見ていく必要のあるテーマといえます。

参考にした公的資料

– 法務省「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html

– 法務省「法制審議会答申(平成8年2月)」
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi_960226-1.html

– 衆議院調査資料「法務をめぐる近年の動向」
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/shiryo/doukou221houmu.pdf/$File/doukou221houmu.pdf

– 内閣府男女共同参画局「夫婦の姓(名字・氏)に関するデータ」
https://www.gender.go.jp/research/fufusei/index.html

– 内閣府男女共同参画局「旧姓使用の現状等」
https://www.gender.go.jp/research/kyusei/index.html

– 最高裁判所 令和3年大法廷決定PDF
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-90412.pdf

– 法務省「民法等の一部を改正する法律について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00315.html

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