
なぜ、小園海斗じゃなかったのか。
5対8のスコアボードを見つめながらこの問いがずっと頭の中をぐるぐると回っている。
2025年セ・リーグ首位打者、打率3割9厘、最高出塁率との二冠を獲得した男が準々決勝ベネズエラ戦のスタメンに名を連ねることはなかった。
テレビ画面に映るベンチの小園海斗の横顔がどうしようもなく切ない。
侍ジャパンがWBC6大会目にして初めて4強を逃すという結末を迎えたきょうのローンデポ・パーク。
3万4548人の観衆が見守った3時間7分の死闘はカープファンにとってはまた別の意味を持つ敗戦だった。
あの男が、最後までグランドの土を踏むことなくマイアミを去ることになった。
その事実が胸の奥で静かに燻っている。
先頭打者弾の応酬から始まった乱打戦の幕開け
山本由伸が投げる初回、いきなり試合は動いた。ベネズエラの1番アクーニャJr.がカウント1-0から右中間へ先頭打者本塁打を叩き込む。
ガツンという打球音がテレビ越しにも伝わってくるような一撃だった。
しかしその裏、大谷翔平が即座に同点弾を返す。センターへ突き刺さるような弾道のホームランで、1対1。
世界最高峰の野球がここにあった。
だけどスタメン表を見たあの瞬間の落胆を忘れられない。
7番セカンドに並んでいたのは、牧秀悟の名前だった。打率.222。
1次ラウンドのオーストラリア戦では、大谷の満塁打席を前にけん制で刺されるという痛恨のミス。
調子の上がらない牧をなぜベネズエラ戦でもスタメン起用したのか。
小園の打率.333という数字が、余計に重く感じられた。
2回表、ベネズエラのトーレスにタイムリー二塁打を浴び、2対1と再びリードを許す。山本の球がわずかに高い。じわじわと嫌な空気が漂い始めた。
それでもベンチでは小園が声を張り上げチームを鼓舞していたはずだ。自分の出番がないと知りながら…
3回裏、打線がついに爆発した。1アウト1、2塁から佐藤輝明がライトへ同点タイムリー二塁打。
さらに森下翔太が2アウト2、3塁からレフトスタンドへ逆転3ラン。5対2。
この瞬間、井端監督がベンチの柵を飛び越えて喜んだという。
森下の背中を叩く小園の姿も、きっとそこにあったのだろう。
6回の悪夢 アブレイユの逆転3ランが突き刺さった瞬間
5回隅田が打たれた。ガルシアの2ランで5対4。1点差まで詰め寄られる。
そして運命の6回伊藤大海がマウンドに立った。ノーアウト1、3塁という最悪の場面で、7番アブレイユを迎える。
カウント2-1からの4球目、甘く入ったボールをアブレイユは逃さなかった。ライトスタンドに吸い込まれていく白球。逆転3ラン。5対7。
テレビの前で声が出た。いや声にならなかった。伊藤の表情が歪む。ベンチでは大谷が唇を噛んでいた。
だが、カープファンとしてはどうしても考えてしまう。もし、この試合で小園がセカンドを守っていたら。牧の代わりに小園が打席に立っていたら。
もちろん結果論でしかない。それでも考えずにはいられなかった。
8回種市のけん制悪送球でさらに1点を失い、5対8。
終盤の日本打線はベネズエラのリリーフ陣を打ちあぐね、4回以降は無得点のまま終戦を迎えた。
井端監督は敗戦後の会見で「負けたというのは現実。打つ方も投げる方もかみ合わなかった」と語った。
小園海斗の大会成績は、1次ラウンドのチェコ戦で「6番遊撃」として初スタメン出場を果たし、3打数1安打。打率.333。
それが、侍ジャパンとしての全記録となった。
大谷翔平が「THE LAST SAMURAI」と呼んで励ました男は、決勝トーナメントではついに出番を得られなかった。
マイアミの夜空の下、小園海斗は何を思っただろうか。
セリーグ首位打者としての誇りを胸にそれでもチームのために声を出し続けた日々。
ベンチからの景色しか知らないまま終わるWBCの無念さをきっと噛みしめていたに違いない。
侍ジャパンの敗退は残念だ。
でも、カープファンとしてはもうひとつの悔しさがある。小園海斗という才能が世界の舞台で輝く機会を得られなかったこと。
2025年あれだけ苦しんだカープを支え続けた背番号5が、なぜ準々決勝で起用されなかったのか。
この問いは、しばらく胸の中で燻り続けるだろう。
それでも小園海斗は胸を張って帰ってきてほしい。
カープのユニフォームを着てマツダスタジアムで躍動する姿を見せてくれ。
あしたからまたシーズンに向けた準備が始まる。マイアミで見た悔しさを、赤いユニフォームで晴らしてほしい。
そう願いながらきょうはそっとテレビを消した。
いつかまた小園海斗が世界で輝く日を信じて。
待てよ、カープVS阪神のオープン戦を観るためにテレビを付けた。
相変わらずしょっぱい試合内容でWBCのヒリヒリ感はまったくなかった(泣)
1-0で勝ったけどそんな事はどうでもいい。
小園海斗 早くカープへ帰ってきてくれ
小園海斗実家ファミリーマイアミ降臨🎏ご両親若いのね#worldbaseballclassic #侍ジャパン #カープ pic.twitter.com/DbHrlMVFRi
— ぶりお (@gyoraidou) March 14, 2026
試合まとめ
・日時:2026年3月15日(日)10:00(日本時間)
・対戦相手:ベネズエラ代表
・最終スコア:日本 5 – 8 ベネズエラ
・先発投手(日本):山本由伸 3回 69球 2失点
・先発投手(ベネズエラ):R.スアレス
・本塁打:【日本】大谷翔平(1回ソロ)、森下翔太(3回3ラン)【ベネズエラ】R.アクーニャJr.(1回ソロ)、M.ガルシア(5回2ラン)、W.アブレイユ(6回3ラン)
・勝利投手:E.デヘスス(ベネズエラ)
・敗戦投手:伊藤大海(日本)
・セーブ:D.パレンシア(ベネズエラ)
・結果:侍ジャパン準々決勝敗退(6大会目で初の4強逃す)


