絶望が胸の奥でズシンと響いた。
7月27日マツダスタジアム、巨人に5対6で敗れた瞬間
きっと全国の赤ヘル軍団が天を仰いだことだろう。
5連敗ときっと誰もが頭の中で繰り返した。
首位阪神との差は開く一方で、巨人との4.5ゲーム差も重くのしかかる。
だが、問題はそんな数字なんかじゃない。きょうの試合を見て、あぁこんな状態で甲子園へ乗り込むのかと思うと、まさに死地に赴く武士の心境だった。
序盤から見えていた暗雲
先発した佐藤柳之介の立ち上がりは、目を覆いたくなるような有様だった。
ストライクとボールがはっきり分かれ、制球も定まらず、まるで初めてマウンドに立った少年のような緊張が伝わってきた。
序盤から巨人ペースで進む試合展開に、スタンドからは早くもため息が聞こえてくる。
5回表、岸田にソロアーチを許して5点目を献上した時、誰もが諦めかけた。
だけどね、そこからがカープの面白いところなんだ。
5回裏、會澤から始まった代打攻勢は、まさに目を見張る光景だった。
代打モンテロ、秋山、大盛、小園と続く5連打で4点を返し、マツダスタジアムが一気に沸騰した。
あの瞬間だけは、今シーズンの苦しさを忘れることができたんじゃないか。
ファンの心の奥で「やっぱりカープはこうでなくちゃ」という声が響いていたはずだ。
しかし、巨人も簡単には引き下がらない。
赤星から船迫にスイッチして、カープの勢いを断ち切ってきた。
その後の1点ずつの取り合いは、まるで心臓に悪い綱渡りのような展開だった。
ファビアンとハーンの対照的な運命
試合を振り返ると、2人の選手の明暗がくっきりと分かれていた。
ファビアンは5回の反撃では中飛に倒れ、7回も遊ゴロ併殺で逸機を作った。外角甘めの球を当てにいったようなスイングは、どこか元気がなかった。
連続打席無安打という嫌な数字はストップしたものの、各球団の内角攻めにまだ苦しんでいるのは明らかだった。
でもね、この男は「カープで長くプレーしたい」と言ってくれている。チーム状況が最悪でも、カープに残り続けてくれることが、どれだけファンの心の支えになっているかわからない。
一方で、ハーンの6失点目は本当に痛かった。ストレートの球速は156キロも出ているのに、まるで打ち頃のボールのように簡単に打たれてしまう。
8回の失点は丸への左前打だったが、左打者にもよく打たれているのが気になるところだ。
力で押すばかりでなく、変化球でも自在にストライクを取れるようにならないと、今のような抑えのポジションを担うのは苦しいんじゃないかと思う。
甲子園という名の死地へ
球宴明けの地元スタートで2つとも負けて5連敗。
これは本当に厳しい状況だ。次のカードが敵地甲子園での阪神戦だけに、チームとしてはどんなことがあっても巨人に勝ちたかったはず。
甲子園という球場は、カープにとって特別な意味を持っている。
あの独特の雰囲気と阪神ファンの熱狂的な応援の中で戦うのは、まさに敵地中の敵地だ。
5連敗という重いものを背負って、あの聖地に乗り込むなんて、考えただけで胃が痛くなる。
でも、ここは起用される選手自身が踏ん張るしかない。
新井監督も選手たちも、頑張って勝つしかないんだ。カープファンとして、この苦しい時期を乗り越えて欲しいと心から願っている。
きっとあの甲子園の土の上で、カープの選手たちは何かを掴んでくれるはずだ。
5連敗の重圧を跳ね返し、再び上昇気流に乗るきっかけを見つけてくれると信じている。
マツダスタジアムで見た5連打の輝きを、今度は甲子園で見せてくれ。
死地へ赴く覚悟で臨む戦いだからこそ、きっと選手たちも本気になってくれるだろう。
あすからの甲子園3連戦、赤ヘル軍団の底力を見せつけてやろうじゃないか。