マツダスタジアムに轟く歓声の中、田村、末包、林の若き才能が輝きを放った3月12日のDeNA戦。あの場面で林晃汰が打ったホームランを見た時、胸が熱くなった。長年カープを見てきた目が確かならば、今年の若手は明らかに違うぞ。
秋春キャンプの成果が見えてきた打撃陣
昨シーズン終盤から見てきたカープの打線は、明らかに変化してきている。新井監督自身が現役時代そうだったように、秋春のキャンプで徹底的に振り込み、「量で質を作る」練習を重ねてきた成果が出始めている。昨シーズンカープは4位と低迷しているが、今は打線の中心を担うべき選手たちの手応えを感じる場面が増えてきた。
でもね、ここからが本当の勝負なのよ。オープン戦や序盤戦では相手も調整段階。これからは主戦級の投手が増えてくる中で、若手たちがどれだけアピールできるかというところだ。プロの世界では「来た球を打つ」なんてのはよほどの選手じゃないとできない。
0コンマ数秒の世界でメンタル面が重要で、頭を使って打つ必要がある。二俣や清水といった若手も、それをどれだけ体現できるかが鍵となるだろう。
いま特に注目しているのは、カウントごとの変わり身。カープの左打者たちを見ていると、走り打ちの選手が多い印象がある。昔から赤ヘル打線には俊足巧打のイメージが強いが、小園のような選手こそもっと振り切っていい。
小園は昨年1本塁打だったが、本来は20本弱は打てる力を持っている。左手で押し込むスイングより、もっと背中をバットでたたくような振り方ができれば、飛距離も伸びると思う。
1975年の初優勝以来見てきたカープの打線
1975年の初優勝時、山本浩二、衣笠祥雄、大下剛らの赤ヘル打線をリアルで見てきた身としては、今のカープ打線には少し物足りなさを感じることもある。あの頃の選手たちは、逆方向にも強く、カウントを踏まえた打撃ができていた。そして何より「打って塁に出る」気概が違った。
2016年から2018年の3連覇時代を思い返せば、新井さん、菊池、鈴木誠也、松山らを中心に、相手投手の配球を読みながら「2段構えの準備」ができていた。
今の矢野にしても、「塁に出よう」という意識は素晴らしいが、うまく打とうとするあまり、腰が入ったスイングができていない。
バスケ選手が腰を使ってジャンプするように、下半身の力を使って振らんといけん。当て逃げのスイングでは、プロの世界では通用しないと思う。
外国人選手の活躍も今季のカープには欠かせない。ファビアンはパワーはあるが、内田順三氏も指摘するように開きが早く、下半身がほどけてしまうと、日本の変化球にはなかなか対応できないと思う。
モンテロも同様で、今はレフト方向への打球が目立つが、広角に打てなければ日本では成功できない。
かつて中日で活躍したウッズも来日当初は苦労したが、右中間にホームランを打ったことで一変した。そんな転機がカープの外国人選手にも必要なんだろうね。
今年のチームは可能性を秘めている。3連覇時代を知るカープファンとして言わせてもらえば、打撃陣の底上げこそが今季のカープの勝負どころ。
5月の連休明け、交流戦、そして夏場の中盤戦で若鯉たちがどう育つか。マツダスタジアムから新しい英雄が生まれる予感がするわ。内田順三氏の指摘どおりに、若手たちが化けるのを信じている。
赤ヘル打線の復活、それは夢物語なんかじゃない。若き才能が古き良き伝統を受け継ぎ、新しい歴史の1ページを刻む。
そんな日が必ず来るはず。広島の地に新たな伝説を作るために、今年のカープは帰ってくる。そう信じて疑わない。毎年こ時期に思うけどカープファンは何があっても、ずっとカープを応援し続けるしかない。
まずはリーグ優勝という甘い果実を頬張らせてくれ!生牡蠣でもいいんじゃけど…