真っ赤な熱気が街を包む。広島の空に、希望の風が吹き抜ける。
セ・リーグ優勝へのカウントダウンが始まった。新井貴浩監督率いる広島東洋カープが、ついに頂点を目指す最後の激闘に突入する。マツダスタジアムは、熱狂の渦に包まれていた。
選手たちの瞳に、決意の炎が宿る。新井監督が提唱する「チーム一丸」の精神が、ベンチからグラウンドへと浸透していく。ベテラン選手たちは、若手の躍動を見守りながら、自らの経験を武器に戦いに挑む。若手選手たちは、先輩たちの背中を追いかけ、持てる力の全てを出し尽くそうとしていた。
打線は爆発寸前だ。小園海斗の疾風のような積極バッティングが、相手投手を翻弄する。その俊足が、塁上を駆け抜ける。坂倉将吾の正確な打撃が、チャンスを確実に仕留める。そして、松山竜平の勝負強さが、大一番で光る。
末包昇大の無限のパワーが炸裂する。鍛え抜かれた筋肉が生み出す強烈なスイングが、打球をスタンドに突き刺す。その一撃に、スタジアム中が熱狂の渦に包まれる。
打者一巡の猛攻で、カープが大量得点を奪う。その瞬間、スタジアム全体が赤く染まり、歓喜の声が響き渡る。そして、あの歌が始まる。
「きょうのカープは勝ーち勝ーち勝っち勝ち!」
カープファンの心を一つにする「宮島さん」の歌が、スタンドを埋め尽くす。老若男女問わず、全ての観客が声を合わせて歌う。その歌声は、選手たちの心に直接響き、さらなる闘志を燃え立たせる。
歌い終わると、スタンド全体で万歳三唱が2回繰り返される。歓喜の笑顔とともに、カンフーバットを叩き合い得点の余韻に浸る。この瞬間、スタジアムはひとつの生き物のように息づいている。
カープファンの胸の内には、「何度でも宮島さんを歌いたい」という思いが溢れている。それは、チームの勝利を願う気持ちと同義だ。得点のたびに歌える「宮島さん」は、カープファンにとって最高の喜びの表現なのだ。
守備陣の要、矢野雅哉の鉄壁の守備が、相手打線の勢いを削ぐ。その華麗な守備で幾度となくピンチを救い、チームに勢いをもたらす。新井監督が掲げる「守り勝つ野球」の象徴として、矢野の存在が光る。
そして、まさかのFAでカープへ来てくれたウナギイヌ先輩・秋山翔吾のリーダーシップが、チームに新たな風を吹き込む。豊富な経験に基づくアドバイスが、若手選手たちの成長を後押しする。
その存在感は、ベンチでもグラウンドでも光り輝いている。秋山の加入は、カープファンに大きな希望と喜びをもたらした。彼の背番号9のユニフォームは、スタンドのあちこちで輝いている。
マウンドでは、森下暢仁が威風堂々と腕を振る。九里亜蓮の粘り強さが、相手打線を翻弄する。栗林良吏の鋭い球筋が、最後の砦として輝きを放つ。
ノーヒットノーラン男・大瀬良大地が投手陣をまとめ自らもマウンドで勝利の雄叫びを上げる。
新井監督の采配が冴える。ベンチからは常に的確な指示が飛び笑いも交えて、選手たちの士気を高める。
かつてのカープ黄金期を知る監督の眼差しには、栄光への渇望が宿っている。そして、誰も置いていかない「カープ家族」の絆が、チーム全体を包み込む。ベンチの選手たちも、グラウンドの選手と同じ熱量で戦いに参加している。
スタンドは赤一色に染まり、チャンステーマが響き渡る。老若男女問わず、全ての観客が一体となって声援を送る。その声は、選手たちの心に直接響き、限界を超える力を与えるはずだ。
そして、またも得点チャンス到来。ファンの期待が高まる中、打者が打席に立つ。鋭い打球が外野の芝生を転がる。走者が生還し、再び大歓声が沸き起こる。
またしても、スタジアム中に「宮島さん」の歌声が響き渡る。カープファンの顔には笑みが溢れ、その声は前よりも大きくなっている。歌い終わると、もちろん万歳三唱。「カープ!最高じゃ!」の咆哮が、広島の夜空に響く。
街全体がカープ一色だ。本通りにはカープグッズが溢れ、市民の会話は常にカープのことばかり。広島の地に根付いたスポーツ文化が、今まさに花開こうとしている。
そして、運命の7連戦が目前に迫る。9月10日から始まる巨人・阪神・DeNAとの7連戦。この激闘を制することが、優勝への大きな鍵となる。
選手たちの目には、7連勝への揺るぎない決意が宿る。「絶対に負けられない」その思いが、チーム全体にみなぎっている。新井監督は選手たちに告げる。「一戦必勝。全力で、そして楽しんで戦おう。わしらはカープ家族じゃあ!」
この7連戦、いや、残りのシーズン全てが、まるで優勝決定戦のような緊張感に包まれる。選手たちは互いに声を掛け合い、チーム一丸となって勝利を掴み取ろうとしている。
カープファンの期待と熱気が、選手たちの背中を押す。「必ず7連勝を」その思いが、スタジアム全体を包み込む。そして、その思いの裏には「7試合で何度宮島さんを歌えるだろう」という、ファンならではの楽しみな予想も隠れている。
この瞬間、すべての想いがひとつになる。選手たち、コーチ陣、フロント、裏方スタッフそしてカープファンたち。広島東洋カープに関わる全ての人々の願いが、ひとつの大きな力となってマツダスタジアム全体を包み込む。
勝利への執念が、空気を震わせる。カープ魂が、今まさに赤く燃え上がろうとしている。
セ・リーグ制覇、クライマックスシリーズ突破、そして日本一へ。広島東洋カープの熱き戦いは、まだまだ続く。赤き燃え上がる炎は、さらなる高みを目指して燃え続けるのだ。7連勝、そしてその先の栄光を目指して、カープ家族全員の思いをひとつに。
そして、カープファンの心の中では、優勝の瞬間に歌う「宮島さん」の歌声が、既に鳴り響いている。その日、広島の街全体が赤く染まり、「宮島さん」の歌声と万歳三唱が、夜通し鳴り止むことはないだろう。